[0628-201502] 丸善マナスルシューズからプレーントウと型押し革の魅力について改めて考えてみる。

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[0628-201502] 丸善マナスルシューズからプレーントウと型押し革の魅力について改めて考えてみる。

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昨日の東京は幸いにも大雪にはならず、折角用意したラギッドシューズが本領を発揮できませんでした。雪の日が待ち遠しくなる一足だっただけに、ちょっとだけ残念でした。
[0618-201502] 私が選んだ四足目のラギッドシューズは、雪の日が待ち遠しくなる一足でした。
などと雪に悩まされている方々に対して無神経な発言ではありますが、昨日今日とその分しっかりこの靴を履くことができました。
勿論連投が良くないことはこのブログでも散々書いているのですが、分かった上でやってしまうんです。はき始めは。
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丸善マナスルシューズと言えば。

何を思い浮かべるかは人それぞれだと思いますが、私はこの外羽根プレーントゥだと思っています。と言いながら4足目にして初めて選びましたが。
ちょうど先日触れたブログの記事で、デザイナー奥村靫正さんが雑誌の中で「丸善のマナスルシューズ」を紹介されていたものの切抜きが出ていました。
丸善のマナスルシューズ 帰ってきた「喫茶と軽食さくらい」

YMO周辺のデザインがつとに有名なデザイナー・奥村靫正氏が掲載された雑誌の1ページ。どうやら『アンアン』のようなのだが、奥村氏のポートレイトから察するに相当昔のものであることは間違いない。さまざまな人がお気に入りの品を紹介するという趣旨のページなのだろう。ここで奥村氏は、「丸善のマナスルシューズ」を紹介し、写真のキャプションには「『丸善』のマナスルシューズを、はき続けている。今、2足めがまる3年たったけど、まだまだ平気。ロケなどで山を歩いてもビクともしないし、少々汚れても気にせずはいていられる。そんな気安さがある。」と記されている。

こちらで載っていたマナスルシューズは4穴のプレーントゥ。甲革は通常の牛革でしょうか。現行だと牛革の黒はこちらです。ただ、紐の穴数が3つになります。価格は税込み\21,600-。
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ちなみに私が今回購入したのと同じ型押しタイプになると、若干デザインが変わり、4穴。穴数が変わるだけでフィット感だけでなく、勿論表情も変ってきます。
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三交製靴のサイトのお客様からの声にある作家の陳舜臣さんが黒と茶の二足で揃えていたものはどれでしょうか。

【靴といえば、取材に普通の革靴を履いていって、失敗したことがあります。あんまり滑るので山へ登ることができなかった。それにこりて買ったのがマナスル(ラギッドシューズの旧名)。これは、裏がゴムになっていて、手縫い。いつどこへどんな取材に行くかわからないから、どこへでも行くことのできるような靴として、黒と茶色の二足を揃えています。この靴は革ですからフォーマルなときにでも構わない。どんなところへも履いていけるので、とっても便利です。履きやすいのはいいですが、かなりの重さがある。でも力を入れて歩くので、健康にはいい。普通の人の二歩分が、これの一歩分に当たるんじゃないかと、勝手に考えています。一歩一歩歩きこたえがあるから、最近はふだんでも履いています。】

お客様からの声 – ラギッドシューズ(マナスルシューズ) 三交製靴株式会社
また、服飾評論家の出石尚三さんが雨の日に愛用されているのがやはり黒のプレーン・トゥのマナスルシューズのようですね。

雨の日にむかしから私が愛用しているのは、「丸善」のオリジナル・シューズです。
昭和30年頃から作っているのだそうで、ガッチリとして、無骨なほどの表情をしています。
その頃、日本のマナスル登山隊のために作ったのがはじまりだと、聞いたことがあります。
それで以前は「マナスル・シューズ」の名前がありました。
が、今は「ラギッド・シューズ」と呼んでいるようです。
ゴム製のラギッド・ソールが付いているからです。
もともとは登山靴であったのですが、デザインそのものは黒のプレーン・トゥで、紐結び、当然、スーツに合わせても違和感がありません。
もちろん撥水加工を施した革靴で、水は入ってきません。
なによりの特徴はコバで、ここが二重になっているのです。
ラギッド・ソールは雪道でも比較的滑りにくいので安心でしょう。

ハイハイQさんQさんデス-男はカッコ

さて。プレーントゥ。

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今回改めて書いてみたいな、と思ったのは、いつも楽しみにさせて頂いているShoe*さんの今回の話題がプレーントウだったからです。
Shoe*: プレーントウについて思いを語ってみる

お手入れし易い、外羽根によりサイズの調整がし易い、クールビズなどのややラフなスタイルにも合いやすいとオールマイティに思われがちな靴。しかし、僕は思う。
「プレーントウは難しい」
ビジネスシーンでブラックのプレーントウを格好良く履きこなすのは相当の洒落者でないと無理ではないか、と思えてならない。

非常に興味深い考察です。確かにその通りですね。プレーントゥ(プレーントウ)はもう紳士靴の基本中の基本。お父さんたちの定番靴リーガルでも40年以上続く名作2504があるように、昔から愛されてきました。

日本でビジネスシューズと言えば、この2504NAに代表されるプレーントゥか2589Nなどのウィングチップ。というのはVANの影響を受けた方だけでなく、最近の若い方にも意外と人気があるということからも分かります。

ただね、確かに難しい。

確かに難しいんです。こういう誤魔化しのきかない靴は。また足元もシンプルになりますし。シンプルな分、細さからその形まで、少し変えるだけでドレスからカジュアルまで幅広くなります。
自分がどういう体型で、どういうスーツを着ていて、どういうスタイルが好きで、望んでいるのか。分かっていないと何となくちぐはぐになる。ちぐはぐになった途端、この何の変哲もないデザインは、急にありふれた世の靴に興味のない人が適当に履く靴と同じになってしまいます。

それでもやはり履いて欲しい。

それでも、私はプレーントゥやストレートチップを履いて欲しいと思うのです。以前から何度もくどいくらいに書いていますが、多少なりとも靴に関心を持ってくれたのであれば、この靴としっかり付き合って欲しい。
[0178-201404] 靴屋だった以前に靴好きの私が新社会人のあなたにそれでもストレートチップを二足目として薦める理由。
どのデザインであっても、結局中途半端には誤魔化せているように見えて、それはあくまでそれだけに過ぎないんですね。
であれば、もう一生これでいくくらいのつもりで、この靴を基本に自分のスタイルを徹底的に考えて欲しいのです。自分はどんなスーツを着るんだろう?どんなスタイルが好きなんだろう?
自分の体型も合わせて考えてみる。これ、手元にある靴のデザインの種類が多種多様になればなるほど、分かりにくくなってしまうんです。装飾に目が行ってしまうので。
その際には、靴だけを見ないで欲しい。鏡で全身を映して、細部を気にせず、半分焦点を合わせないくらいのボーッとした感じで全体を見てみて欲しい。
偉そうでしょ?何様な感じでしょ?でも実際これは私にとっても永遠の課題でもあり、未だに自分の答えは全く見つかっていません。
[0210-201405] クールビズに合わせるビジネス靴を考えてみたら、やっぱりスタンダードに落ち着いた。

さて、型押し。

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型押し革です。今回のラギッドシューズのようにしっかり型押しになっていると、だいぶドレス感が薄れます。
これ、どう履きましょうか?
型押し革って若い方には結構敬遠されます。何となくオッサンなイメージがあるんでしょうね。お店にいた頃も、型押しは真っ先によく除外されました。カジュアルだと時々お兄さんが買っていきましたが。
ただ、意外と面白いんです。ここでは敢えて型押しを推してみたいと思います。

長く履き続ける楽しみがある。

型押しははき始めはあまり表情がありませんが、履きこんで、良い具合にクリームも入って、時々雨に打たれたりしながら数年履き続けると、良い具合になるんです。
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私の愛用しているロイドフットウェアの外羽根セミブローグのスコッチグレイン茶のモデルは、まだ7~8年ですがかなり良い表情を見せてくれるようになりました。
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型押し革ってクリームが入りにくかったりと面倒な印象があるのですが、その分履いていく内にしっかり応えてくれる革でもあります。もう一足、和創良靴で以前作った、ピボディのデッドストック革の型押しもまだ3年弱ですが、良い表情をしてくれています。
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意外と傷が目立ちにくい。

元々型押しですからね。細かい傷程度であれば遠目でみれば誤魔化せてしまうんです。とはいえ、ちゃんとお手入れをするのとしないのとでは雲泥の差ではありますが。
更に、皺も勿論入りますが、艶革、ガラス革に比べると見ていて切なくなるような入り方をしないのです。していても分かりにくい、とも言えますが。
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秋冬の起毛素材や、春夏のシャリ感のある素材に合わせても意外とうまく合います。相性悪くないんです。色によってはジーンズと合わせても良いかもしれませんね。

三交製靴ラギッドシューズであれば、型押しは有力な選択肢だと思います。

今回4足目にして初めてプレーントゥを選んだのですが、ラギッドシューズであればもしかしたら型押しというのは非常に有力な選択肢になるのではないかと思うのです。
元々靴底もかなりタフに、厚くできていますし、コバ周りもボリュームがそれなりにある。実際に登るかどうかは別としても野山散策もできてしまいそう。マナスルシューズですから。昔の作家が取材旅行などでも愛用したように。
勿論私が最初に購入したペッカリーは一押しです。こちらもかなり甲革の表情が豊かな靴ではありますが。
プレーントゥはなかなか難しいし奥が深い靴だと思います。楽しんで履ければ細かい蘊蓄や「べき論」なんて野暮で全く不要なのですが、それでも少しでもそれがより楽しめるきっかけになるのであれば良いな、と思って書いてみました。
とりあえず、雪は積もりませんでしたけど、良い靴ですよ。ラギッドシューズ。(マナスルシューズ)
[0618-201502] 私が選んだ四足目のラギッドシューズは、雪の日が待ち遠しくなる一足でした。

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丸善マナスルシューズと言えば。

さて。プレーントゥ。

ただね、確かに難しい。

それでもやはり履いて欲しい。

さて、型押し。

長く履き続ける楽しみがある。

意外と傷が目立ちにくい。

三交製靴ラギッドシューズであれば、型押しは有力な選択肢だと思います。

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